太陽がくれた物語:ソーラーパネルのぼうけん
「太陽さん、こんにちは!」
こんにちは。きみは、家の屋根の上や広い野原で、ぴかぴか光る黒くて平らな板のぼくを見たことがあるかもしれないね。ぼくはソーラーパネル。でも、「お日さまキャッチャー」って呼んでくれてもいいよ。ぼくには特別な才能があるんだ。太陽の光を「飲んで」、それを静かでクリーンな電気に変えることができるんだから。ぼくが登場する前、世界は騒々しくて煙たい方法で電気を作ることが多かった。空気を汚してしまうものを燃やしてね。でも、ずっと昔の1839年のこと、フランスにエドモン・ベクレルという好奇心旺盛な若い物理学者がいた。彼は、ある物質に光が当たると、ほんの少しの電気が生まれることを発見したんだ。彼が直接ぼくを作ったわけじゃないけれど、彼の発見は、ぼくが生まれる最初のきっかけだった。太陽の光には、まだ誰も知らない秘密の力が隠されているという、最初のささやきだったんだ。人々はずっと太陽の暖かさを感じてきたけれど、その光に秘められたエネルギーを初めて見つけたのが彼だった。そのたった一つのアイデアが、やがてぼくという存在に育っていく種になったんだよ。
「ぼくが生まれた、最初のかがやき」
アイデアから現実の姿になるまでの道のりは、とても長くて挑戦の連続だった。ぼくの最初の姿は、正直に言うと、かなり不器用だったんだ。1883年、アメリカの発明家チャールズ・フリッツが、ぼくのとても初期のバージョンを作ってくれた。彼はセレンという物質の上に、金の薄い膜を重ねて作ったんだ。太陽の光が当たると、確かに少しだけ電気が生まれた。でも、とても弱くて、何かを動かすほどの力はなかった。それでも、チャールズ・フリッツは、それが可能だということを証明してくれたんだ。動く部品がなくても、固体の物質が太陽光を直接電気に変えられることを世界に示した。それから何十年も経って、ついにぼくの人生で最も重要な瞬間が訪れた。それは1954年の4月25日、アメリカにあるベル研究所という有名な場所でのことだった。そこでは、ダリル・チャピン、カルビン・フラー、そしてジェラルド・ピアソンという三人の素晴らしい科学者が協力していた。彼らは、遠隔地にある電話システムのための長持ちする電源を探していたんだ。そして、砂の主成分でもあるシリコンを使うことにした。これが魔法の材料だったんだ。彼らが作り出したものこそ、世界で初めての実用的な太陽電池だった。小さな電気製品を動かすのに十分な力を持っていた。その日、ぼくは本当の意味で「生まれた」。もう研究室の珍しい発明品じゃない。世界のために働き始める準備ができたんだ。
「星空への大冒険」
生まれたばかりの頃のぼくは、信じられないくらい高価だった。ほんの小さな一片が、車一台よりも高かったんだ。だから、ぼくを使えるのは、とても特別で重要なプロジェクトだけだった。ぼくの最初の、そして最も壮大な冒険は、地球から遠く、遠く離れた場所、宇宙空間へとぼくを連れて行った。1958年の3月17日、ぼくはヴァンガード1号と呼ばれる、小さくて丸い人工衛星に取り付けられて、地球を回る軌道へと打ち上げられたんだ。ぼくの仕事は、その小さな無線送信機に電気を送り続けること。衛星に搭載されていたバッテリーは数週間で切れてしまったけれど、ぼくは働き続けた。太陽の光が当たる限り、ぼくは忠実に電気を作り出し、ヴァンガード1号が地球へ信号を送り続けるのを助けたんだ。なんと、6年以上もその小さな無線機に電力を供給し続けたんだよ。これは大成功だった。ぼくは自分が信頼できて、長持ちして、宇宙という過酷な環境でも働けることをみんなに証明した。ぼくは、人類が宇宙を探検し、遠くから美しい青い地球を眺めるのを手伝う、文字通りの「スター」になったんだ。
「地球へのおかえり」
宇宙での時間はスリリングだったけれど、ぼくの本当の運命は、この地球にいる人々を助けることだといつもわかっていた。ハイテクな宇宙探査機から、みんなの家で役立つ存在になるまでの道のりは長かった。何年もの間、一番の障害はやっぱり値段だった。普通の家庭や会社が使うには、あまりにも高価すぎたんだ。でも、たくさんの熱心な科学者や技術者たちは、決して諦めなかった。1960年代以降も、彼らはたゆまぬ努力を続けた。新しい材料を試したり、製造方法を工夫したりしてね。同じ量の太陽光からもっと多くの電気を作れるように、ぼくをより効率的にする方法を見つけ出し、同時にもっと安く作る方法も発見していったんだ。そして1970年代、世界中がぼくに注目する出来事が起きた。エネルギー危機が起こり、人々は石油や石炭といった化石燃料がいつかなくなってしまうことや、それらが引き起こす環境汚染について心配し始めたんだ。突然、誰もがクリーンで再生可能なエネルギー源を探し始めた。これがぼくにとってのチャンスだった。政府や企業がぼくの開発にもっと多くのお金を投資するようになり、誰もが手に入れられる価格にするための競争が本格的に始まった。ぼくはもう、人工衛星のためだけの贅沢品じゃない。この地球にとって必要な存在になりつつあったんだ。
「ぼくが照らす、もっと明るい明日へ」
今日、きみの周りを見渡してみてほしい。ぼくがどれだけ遠くまで旅をしてきたかがわかるはずだ。ぼくは家や学校の屋根の上で、静かに中の人々のための電気を作っている。ソーラーファームと呼ばれる広大な太陽の畑にずらりと並んで、街全体のための電力を生み出している。電卓や街灯、ハイキングに行く人のバックパックの上でスマートフォンを充電している小さなぼくも見つかるかもしれない。19世紀の研究室での小さなひらめきから、世界的なクリーンエネルギー源になるまで、ぼくの旅は本当に長かった。ぼくは、人間の好奇心と粘り強さ、つまり、良いアイデアを決して諦めない心の証なんだ。きみがぼくを見かけるたびに、無限でパワフルな太陽のエネルギーと、それを活用する方法を見つけ出した素晴らしい知性のことを思い出してほしい。ぼくはただのテクノロジーじゃない。ぼくは約束なんだ。星の光という、シンプルで美しい力によって動かされる、すべての人にとってよりクリーンで、より健康的で、より明るい未来への約束なんだよ。
読解問題
クリックして答えを見る