私は結露、見えない水の魔法使い
みんな、こんにちは。私のこと、見たことあるかな?たぶん、ないと思う。だって私は、姿が見えないんだから。でも、私の作品はきっと見たことがあるはずだよ。朝、キラキラ光る草の上を歩いたことがある?草の葉っぱ一枚一枚に、小さな宝石みたいな水滴をそっと置いていくのは、この私。まるで、夜の間に妖精が小さな真珠をばらまいたみたいでしょう?暖かい日に、冷たいジュースが入ったガラスのコップをテーブルに置くと、どうなるかな?コップの外側がじっとりと濡れてきて、まるで「汗」をかいているように見えるよね。その汗を描いているのも、私なんだ。冬の寒い日には、バスの窓ガラスが私のキャンバスになる。君が息を「はーっ」て吹きかけると、窓が真っ白に曇るでしょう?そこに指で絵を描いたこと、あるかな?あの真っ白なキャンバスを用意しているのも、私。私は空気の中に隠れていて、魔法みたいに、見えない気体から美しい水のしずくを生み出す、見えない芸術家なんだよ。
昔々、人々は私のことをとても不思議に思っていた。「一体どうして、何もないところから水が現れるんだろう?」ってね。賢い人たちも頭を悩ませていたんだ。例えば、古代ギリシャにいたアリストテレスという学者は、空を見上げて考えた。「水はきっと、大きな輪っかみたいに地球をぐるぐる回っているに違いない」と。それはすごく良い考えだったけど、一つの大きな謎が残っていた。どうやって水は空に昇るんだろう?そして、どうやって水はまた地上に戻ってくるんだろう?長い間、それは誰にも解けないパズルだった。でもね、何百年も経ってから、フランスにバーナード・パリッシーという、とても好奇心旺盛な人が現れたんだ。彼は、私のいたずら好きの兄弟、「蒸発」の仕業に気づいたんだ。蒸発は、太陽の熱を使って、湖や海の水を目に見えない気体に変えて、空へと連れて行ってしまう。そして、空高く昇った気体が冷たい空気に触れると…そこで私の出番。私がその気体を捕まえて、ぎゅーっと集めて、元の小さな水の粒に戻してあげる。そう、私の名前は「結露」。君たちが窓ガラスや冷たいコップに見る、あの小さな水滴こそが、私の本当の姿なんだ。
私の仕事は、ただみんなを驚かせるだけじゃないんだよ。実は、地球にとって、ものすごく大切なお仕事をしているんだ。私の兄弟の蒸発が空に運んだたくさんの水蒸気を、私が集めて小さな水の粒にする。その粒が、空の上でたくさんたくさん集まると、何になるか分かるかな?そう、ふわふわの「雲」になるんだ。そして、雲がこれ以上持てないくらい重くなると、雨や雪になって地上に降り注ぐ。このおかげで、植物は育ち、動物たちは水を飲み、君たちも川やダムからお水をもらうことができる。私が雲を作らなければ、地球はカラカラの砂漠になってしまうかもしれない。他にも、朝の「霧」を作ったり、夏に涼しい風を送ってくれるエアコンがうまく働くのを手伝ったりもしているんだ。どう?私の仕事、すごいでしょ?今度、冷たい飲み物を飲むときや、窓が曇ったときには、ぜひ私のことを探してみてね。私はいつも、君たちのすぐそばにいるからね。
読解問題
クリックして答えを見る